茂木さんの解答が素晴らしかったので参考にしました.

以下,複素数を考えるのがほんのちょっとだけ面倒なので $H$ は実Hilbert空間であるとします.

一意性

点 $x,y\in H$ が $\langle x,z \rangle=\langle y,z \rangle\; (\forall z\in H)$ を満たすとき $x=y$ であることを示せばよい.これは $z=x-y$ として得られる等式

$$ \langle x-y,x-y \rangle=0 $$

と内積の正定値性より従う.

存在性

連続汎関数 $f\in H^*$ を取る.$f=0$ のときは $f=\langle 0,\cdot \rangle$ と書けるので $f\neq 0$ としてよく,このとき $x_0 \in H\backslash \mathrm{ker}f$ が取れる.  さて,点 $x_0$ に対して $x_0-y_0 \in (\mathrm{ker}f)^{\perp}$ を満たす点 $y_0 \in \mathrm{ker}f$ が存在することを示そう.(幾何学的には $y_0$ は $\mathrm{ker}f$ の点で $x_0$ までの距離が最小のものであることに注意して)点列 $(y_k)_{k=1}^{\infty}\subset \mathrm{ker}f$ で

$$ \lim_{k\to \infty}\| x_0-y_k \|=\inf_{y\in \mathrm{ker}f}\| x_0-y \| \eqqcolon d $$

を満たすものを取る(変分法における minimizing sequence との類似性に注意).中線定理と $(y_k+y_l)/2 \in \mathrm{ker}f$ より

$$ \begin{aligned} \| y_k-y_l \|^2 & =2(\| x_0-y_k \|^2+\| x_0-y_l \|^2)-4\| x_0-(y_k+y_l)/2 \|^2 \\ & \leq 2(\| x_0-y_k \|^2+\| x_0-y_l \|^2)-4d^2 \\ & \to 0 \quad (k,l\to \infty) \end{aligned} $$

が成り立つことから,点列 $(y_k){k=1}^{\infty}$ がCauchy列であることが分かる.よって極限 $y_0=\lim{k\to \infty}y_k$ が存在し,$f$ の連続性より $y_0 \in \mathrm{ker}f$ であることも分かる.また,内積の連続性より $\| x_0-y_0 \|=d$ である.よって任意の $y\in H$ に対して1変数関数

$$ \mathrm{R}\ni t\mapsto \| x_0-y_0+ty \|^2 \in \mathrm{R} $$

は $t=0$ で最小値を取り,

$$ 2\langle x_0-y_0,y \rangle=\left( \frac{d}{dt}\| x_0-y_0+ty \|^2 \right) \bigg \vert_{t=0}=0 $$

が成り立つ.これは欲しかった結論 $x_0-y_0 \in (\mathrm{ker}f)^{\perp}$ が成り立つことを示している.  以上を踏まえて,

$$ x_f=\frac{f(x_0-y_0)}{\| x_0-y_0 \|^2}(x_0-y_0)\in (\mathrm{ker}f)^{\perp} $$

とおく.ここで $f(x_0-y_0)=f(x_0)\neq 0$ より $x_0-y_0 \neq 0$ であることに注意しておく.このとき任意の $y\in H$ に対して

$$ y-\frac{f(y)}{f(x_0-y_0)}(x_0-y_0)\in \mathrm{ker}f $$

であるから,