測地線の方程式,あるいは調和写像
球面 $\mathbb{S}^2$ 上の点 $x_1,x_2$ を取る.写像 $w\colon [0,1]\to \mathbb{R}^3$ で
$$ \begin{equation} w(0)=x_1, \quad w(1)=x_2, \quad |w(t)|=1\; (0\leq t\leq 1) \end{equation} $$
を満たすものを考え,この中で「ディリクレ・エネルギー」
$$ I[w]=\frac{1}{2}\int_{0}^{1}|w'(t)|^2 \, dt $$
を最小にするものを探そう.仮に $w=u$ がそのようなものであったとすると,実は $u$ は $x_1$ と $x_2$ をつなぐ測地線となる.以下,汎函数 $I[w]$ に対する Euler−Lagrange方程式が測地線の方程式
$$ u''+(u')^2 u=0 \quad (0\leq t\leq 1) $$
となることを見ていこう.なお,これを一般化して多様体 $M$ から $N$ への写像で「ディリクレ・エネルギー」を最小にするものは調和写像と呼ばれ,幾何解析の重要な研究対象となっている.
上のことを示すために,写像 $v\colon [0,1]\to \mathbb{R}^3$ で
$$ v(0)=v(1)=0, \quad |v(t)|=1\; (0\leq t\leq 1) $$
を満たすものを任意に1つ取ろう.このとき十分小さい $\delta>0$ に対して
$$ w_{\tau}=\frac{u+\tau v}{|u+\tau v|} \quad (|\tau|<\delta) $$
は条件 (1) を満たす.よって関数
$$ f(\tau)=I[w_{\tau}] \quad (|\tau|<\delta) $$
は $\tau=0$ で最小値を取り,$f'(0)=0$ が成り立つ.ここで
$$ f'(\tau)=\int_{0}^{1}u'(t)\cdot \partial_{\tau}w_{\tau}'(t)\, dt $$
および
$$ \partial_{\tau}w_{\tau}\vert_{\tau=0}\; =v-(u\cdot v)u \quad (\because |u|=1) $$
に注意すると,条件 $f'(0)=0$ は
$$ \int_{0}^{1}u'(t)\cdot(v-(u\cdot v)u)'(t)\, dt=0 $$