【Q1】講義ではフーリエ部分和 $S_N(f)(x)=\sum_{n=-N}^{N}\hat{f}(n)e^{inx}$ を考えたが,他に $S_{M,N}(f)(x)=\sum_{n=-M}^{N}\hat{f}(n)e^{inx}$ のようなものを考えることはないのですか?

【A1】自然かつよい指摘だと思います.応用上は(私の知っている限り)あまり考えないのですが,フーリエ級数展開が上手くできないような状況を明らかにするために $S_{M,N}(f)$ を考えることがあります.例えば例2.1のフーリエ部分和は

$$ S_N(f)(x)=\sum_{n=-N,n\neq 0}^{N}\frac{e^{inx}}{in} $$

ですが,対称性を崩してできる

$$ S_{0,N}(f)(x)=\sum_{n=1}^{N}\frac{e^{inx}}{in} $$

という関数は以下の定理の証明に利用されます(参考書の§2.2に詳細が書いてあります).

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定理(デュ・ボワ・レイモン)

$f\in C(\mathbb{T})$ であって,ある点 $x=x_0$ でフーリエ級数が発散するものが存在する:

$$ \lim_{N\to \infty}\left| \sum_{n=-N}^{N}\hat{f}(n)e^{inx_0} \right|=\infty. $$

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なお,フーリエ級数が絶対収束する場合,すなわち

$$ \lim_{N\to \infty}\sum_{n=-N}^{N}|\hat{f}(n)|<\infty $$

が成り立つ場合は,$M\to \infty$ さえ満たされていれば対称的に和を取る意味はあまりありません.例えば定理0.15の仮定のもと,等式

$$ f(x)=\lim_{N\to \infty}\sum_{n=-N}^{N^2}\hat{f}(n)e^{inx} $$

が成り立ちます(全く同じ証明).和の取り方を変えて困る可能性があるのは条件収束しかしない場合です.