(以下の部分は難しいので分からなくても気にしないでください.)
第二に,「係数をフーリエ係数とは異なるものに適切に取り替えて,$f$ を三角級数の各点収束極限として表すことはできるのでしょうか?」という質問についてですが,
$$ \begin{equation} f(x)=\lim_{N\to \infty}\sum_{n=0}^{N}(a_{n}^{(N)}\cos nx+b_{n}^{(N)}\sin nx) \end{equation} $$
のように,係数を $N$ に応じて変更してよいなら可能です.そうでなく
$$ f(x)=\lim_{N\to \infty}\sum_{n=0}^{N}(a_{n}\cos nx+b_{n}\sin nx) $$
と表せるかについては,私はまだ分かっていません.多分ムリなんじゃないかと思います.
(1) の証明:以下,$f$ は $2\pi$-周期的であるとします.まず $f$ を $2\pi$-周期的な連続関数 $(f_k)_{k=1}^{\infty}$ の各点収束極限として表します(どうすればよいか考えてみてください).次に,連続関数 $f_k$ を
$$ p_{k,j}=\sum_{n=0}^{N_{k,j}}(a_{n}^{k,j}\cos nx+b_{n}^{k,j}\sin nx) $$
の形の関数の一様収束極限として表します.これができることは講義でいずれ示します.このとき「対角線」を取った関数列 $(p_{k,k})_{k=1}^{\infty}$ は $f$ に各点収束します.これは
$$ f(x)=\lim_{k\to \infty}\sum_{n=0}^{N_{k,k}}(a_{n}^{k,k}\cos nx+b_{n}^{k,k}\sin nx) $$
が成り立つことを示しています.(少し議論すると)ここから (1) が従います.
実は区間 $[-\pi,\pi]$ 上の関数で,有理数上だけで 1,他の点で 0 となるような関数 $f$ については (1) も成り立ちません.これは Baire(ベール)の証明した,ある定理を用いると分かります.